便 秘

便秘とは

便秘とは、「便が滞った、または便が出にくい状態」であり、便秘症とは、「便秘による身体症状が表れ、診察や治療を必要とする状態」と定義されます。便秘による身体症状には次のような場合があります。

・ 腹痛(時に強い痛み)

・ 肛門が切れることでの痛み、出血

・ 切れ痔や肛門スキンタグ(肛門粘膜のもりあがり)

・ 直腸脱(排便時のいきみによって肛門から腸の一部がとび出す)

・ 気づかないうちの便漏れ

・ 夜尿(おねしょ)

子どもの便秘の有病率(3歳~8歳)はおよそ15~20%といわれています。これは、1クラス30人とすると、5~6人が便秘ということになります。しかし、全員が医療機関を受診しているとは思えず、むしろ、便秘症であることに気づかない(気づかれない)子どもの方が多い印象です。実際に診療をしていても、最近は便秘の子どもが多い実感があります。便秘を放置しておくと、上記のような症状がみられる以外に、さらに便秘の悪化(慢性化)につながり、治りが悪くなる一方です。

便秘の悪循環

大腸の粘膜は、便から水分を吸収するため、便は大腸にどまっている時間が長ければ長いほど、水分が少なくなり硬くなっていきます。硬くなった便は肛門から出にくくなり、また出るときには痛みを伴います。子どもは、排便時の痛みを覚えると、それがトラウマとなり、便意があっても排便をがまんするようになります。すると、直腸(大腸のおわりで肛門の手前の部分、便が溜まりやすい場所)内への便貯留がさらに増えて、さらに大きな硬い便となり出にくくなります。肛門をふさぐように大きくなった硬い便により、直腸が拡張して常に伸展した状態になると、直腸のセンサーが鈍くなり便意を感じにくくなります。これがまた、便の貯まりやすさにつながります。これらの一連の流れを、便秘の悪循環といいます。

*便秘の悪循環を断ち切るには、排便を促し、直腸の貯留便(宿便)を排泄させることが一番大事です。その次に、毎日できるだけ排便をする習慣をつける(宿便を溜めない)ことが大事になってきます。

便秘の評価

便秘の程度を評価する方法の一つとして、ブリストルスケールがあります。これは、便を形状と硬さで7段階に分類するもので、便秘の診断項目の一つとしてよく使用されます。

    ①~② : 腸内の停滞時間が長く、便秘と判断されます。

③~⑤ : 正常便、特に④が理想便です(③よりは⑤がいいです)。

⑥~⑦ : 柔らかすぎて、下痢と判断されます。


治療と家庭での注意点

① まずは、食事・運動などの生活習慣の改善を行うべきです(下参照)。これをしないまま安易に薬に頼るのはよくありません。

 

② 最初の治療である直腸内の宿便の除去には、浣腸が一番有効です。大量の宿便がある場合には、毎日(5日~7日くらい)浣腸が必要なこともあります。これを徹底しないことには、一旦便が出てもまたすぐに便秘になり一向に良くなりません。また、宿便を浣腸で出さないまま下剤を飲むと強い腹痛が起きることがありますので注意が必要です。

 

③ 宿便の除去ができれば、次はスムーズに排便する習慣(排便リズム)をつけるために、便秘薬(モビコール、酸化マグネシウム、モニラックなど)を使用します。

 

④ 排便リズムをつけるためには数ヶ月から数年を要することもあります。また、その間には、症状の改善や悪化を繰り返すこともあります。便秘の治療は根気強くつきあうことがとても大切です。子どもの便秘は、きちんと治療すれば、ほとんどが治ります。

              便秘時に心がける食事・生活習慣

 適度な運動を行う。室内ゲームより外遊び。

 

食べ物は、海草(ワカメ、ヒジキなど)、豆類(煮豆、おからなど)、穀類(オートミール、コーンフレークなど)、キノコ類、こんにゃく、サツマイモ、ゴボウ、ニンジンなどが良い。毎日しっかりと朝食を摂る(早寝・早起き・朝ご飯の習慣)。

 

便意をがまんしない。排便時間・場所の確保(習慣づけ)。

 

排便できなくても、毎日510分はトイレに行くことを習慣づける。強制しすぎると拒否感が強く逆効果になるので制圧的にならないよう注意。排便できればほめて、排便を成功体験として受け入れさせる。

当院の便秘診療の特徴

当院では、腹部エコーを駆使した便秘診療を行っております。

腹部エコーでは、体に負担なく、簡単に、大腸への便のたまり具合(どれくらいの硬さの便が、どれくらいの量溜まっているのか)を確認できます。これにより、便秘の改善や悪化の程度をより客観的に、そして正確に評価できます。

初診の時の状態評価はもちろん、その後の定期診察時にも確認して、治療の方向性を決定することに反映させております。