頭部打撲

子どもは身体のわりに頭が大きくバランスを保ちにくいために、転んだり、ベッドや椅子から落ちたりして、頭をぶつけることが日常茶飯事です。床や地面で頭をうつ場合が多いですが、その危険度は年齢によって大きく異なります。

 

赤ちゃん,転落

  生後6か月くらいまでの乳児は、頭蓋骨が柔らかく薄いため、ベッドから落ちたくらいの軽い衝撃でも脳内出血などの重度な状態になる可能性があります。ハイハイなどで動き回るようになるころには頭蓋骨が少し強くなり、1歳を超えるころには、大分しっかりとしてきて、ベッドから落ちたくらいでは、重症になる危険性はとても低くなります。この頃には、階段からの転落が原因としては多くなります。5歳を過ぎり頃になると、かなり活発になり、公園の遊具での転落事故が多くなっていきます。

 

年齢以外に重症度を左右する要因として、床や地面の硬さ・強度が重要です。畳・じゅうたん・フローリング・草地・砂地・柔らかい土・木材などの場合では、頭にかかる衝撃が弱いため、1歳以上の子であれば、1m以内の高さから落ちてもほとんど大事にはなりません。しかし、コンクリートやアスファルト、石、鉄板などはとても硬く、頭にかかる衝撃が強いため、30~50㎝程度の高さでも重症になる危険性があります。

          頭部外傷の多い原因(年齢別)

年齢

頭部外傷の原因

05か月

ベッド、ソファ、ベビーベッド

からの転落

6か月~4

階段からの転落

5歳~9

自転車、ブランコ、鉄棒、滑り台、

ジャングルジムからの転落

頭をうった時の対応

たんこぶ,頭部打撲

頭を打ったあと、意識がない・けいれんする・出血量が多い・頭骸骨がへこんでいる等の症状があれば、ただちに救急車を呼びましょう。

 

また、次のような場合も、早期の受診が必要です。

  • 出血など傷があり処置が必要
  • 視線が合いにくい、反応が鈍い
  • なんとなく様子がおかしい、普段と違う
  • 鼻や耳から血の混ざった透明な液が出る

 

一方で、直後に泣き出す場合は、意識がはっきりしていることを示します。その後しばらくして泣き止み、特に変わった様子もなければ、そのまま様子を見るのでもいいです。打った部分を氷水か保冷剤で約15分間冷やすと、コブや内出血は小さくすみます。

家庭での様子の見方

ご家庭で様子を見るときには、次の3つの状態にあてはまらないかどうかを、しばらく注意して観察しましょう。

 

 1. 表情がぼんやりして受け答えがおかしい

 2. いつものような元気がなく、活気よく遊ばない

 3. 繰り返し吐く

 

このうち、一つでもあてはまる場合は受診しましょう。受診先は脳神経外科・小児科・救急外来のうちのどれかです。受傷後3時間以内が最も注意が必要で、24時間以内は要注意です。激しい遊びをせず室内で過ごし、お風呂につかるのは止めましょう。特に変わりなければ24時間以後は普通どおりの生活でよいですが、3日間は上の3つの状態に注意しましょう。