リンゴ病

リンゴ病とは、4~5歳を中心に幼児、学童に好発する感染症で、ヒトパルボウイルスB19というウイルスが病原体です。正式には「伝染性紅斑」といいますが、頬がリンゴのように赤くなることから、リンゴ病という通称で呼ばれています。小児を中心に4~5年周期で流行をくりかえしており、年始から7 月上旬にかけて増える傾向があります。最近の流行は、2007年、2011年、2015年、2019年とちょうど4年周期です。

症状の経過

潜伏期間は4~14日です。感染しても始めのうちは症状が出ないこともあれば、感染後1週間頃に微熱や軽いかぜのような症状が出る場合もあります。ウイルスが体の外に最も多く排出されるのはこの頃で、他者にうつしやすい時期です。

感染後10~20日に両頬に赤い発疹(紅斑)があらわれます。かゆみを伴う場合もあります。この頃にはもう、感染力はほとんどありません。

リンゴ病

続いて手や足、場合によっては胸やおなか、背中にも、レースのような網目状の紅斑がみられます。

リンゴ病,腕,紅斑

大人は関節痛が出ることもあります。紅斑は、1週間程度で消えることがほとんどですが、中には2~3週間も出たりひいたりすることもあり、また日光にあたると赤みが強くなる傾向があります。

実際には典型的な症状ではない例や症状が現れないケースもあるようです。ほとんどの人は自然に回復します。本人が元気であれば、発疹が見られても登校(園)は差し支えありません。

感染経路と予防・治療

くしゃみや咳によって、ウイルスを含んだしぶきが飛び散り、それを吸い込いこむことで感染します。うつりやすいウイルス排泄時期には特徴的な症状がみられないため、二次感染の予防策はありません。そして、紅斑が出現して感染が明らかになった時期には、既にほとんど感染力はありませんので予防策は必要ありません。

予防できるワクチンや特別な治療法はありません。関節痛がつらい場合は鎮痛剤、かゆみが強い場合はかゆみ止めなどが使われます。

 

  妊婦への感染に注意!

妊婦がリンゴ病ウイルスに感染すると、おなかの赤ちゃんに悪い影響(胎児水腫、流産)を及ぼすことがあります。妊娠前半期は、より胎児感染の危険性が高いといわれていますが、後半期にも胎児感染の報告があります。妊娠中に感染したら、おなかの赤ちゃんを注意深く観察する必要があります。妊婦健診をきちんと受け、感染が疑わしいときは産科の医師に相談してください。

 

<お子さんがおられる場合>

☑ お子さんの発熱やかぜの症状に注意し、お子さんとの食器の共有やキスはひかえておく。

 

☑ お子さんが通う学校・幼稚園・保育所でリンゴ病が発生したら、送り迎えはひかえる、かぜのような症状がある人との接触を避けるなどして注意しましょう。

 

まとめ

病原体

ヒトパルボウイルスB19

感染経路

飛沫感染

潜伏期間

414

周囲に感染させうる期間

かぜ症状発現から顔に発疹が出現するまで

登園・登校基準

発疹が出現した頃にはすでに感染力は消失しているので、全身状態が良いこと