急性虫垂炎

腹痛は子どもによくみられる訴えの一つです。そのうちの多くは胃腸炎や便秘、消化不良などによるあまり心配のないものですが、まれに手術を含む積極的な治療をしないと短時間のうちにとても悪くなってしまう病気(このような病気を急性腹症といいます)の場合があります。急性虫垂炎は小児の急性腹症の原因で最も多い疾患です。

 “虫垂”というのは、盲腸(右下腹部にある大腸の始まりにあたる部分)にくっついている、長さ5~10cm、太さ4~5mmのミミズのような形をした細長い袋状の臓器です。この虫垂が炎症を起こして赤く腫れるのが急性虫垂炎です。

原因と病状の進み方

① まず、虫垂の狭い内腔が、便の塊(糞石)やリンパ組織のふくらみなどにより塞がれることで、虫垂内部で細菌が繁殖し炎症が起きます(軽い虫垂炎)。

② 普通の腸炎では腸の中で病原菌が増えても下痢により流されてしまいますが、詰まってしまった虫垂内では細菌の逃げ道がないため、次第に炎症が虫垂の壁に広がっていきます(中等症の虫垂炎)。

③ この状態のまま放っておくと、1~2日で虫垂の壁に穴が開き、虫垂の周囲に膿の塊ができ、膿がおなかの中に広がってしまいます(重度の虫垂炎)。

虫垂炎のことをよく「もうちょう」といいますが、これは昔は手術の時すでに虫垂が破れて、近くの盲腸にまで炎症が広がり腫れていることが多かったためです。

症状と特徴

最も多く発症するのは10〜20歳代ですが、乳幼児期の子供から大人にも起こりますので、いずれの年齢でも念頭に置く必要がある病気です。

症状は、腹痛、吐き気、発熱などがみられますが、最も多い症状は腹痛です。初めはみぞおちの痛みとむかつき程度の症状ですが、1日ぐらいで右下腹部に痛みが移動します。痛みは持続性で、排便で軽くなるということはありません。歩いたり飛びはねたりするとお腹にひびくので、腰をかがめてそろそろ歩くようになります。

診断は、診察に加えて、超音波検査や血液検査、レントゲン検査などにより行いますが、年齢、症状、所見が典型的でない場合では、診断が難しいこともあります。

治療

虫垂炎の治療方法は大きく2通りあります。

 

①  抗生物質による治療

初期段階であれば抗生物質による治療で治ることが多いですが、再発することもあります。

 

②  手術で虫垂を取り除く治療

腹膜炎を起こしている場合は手術が必要です。虫垂を根元で切り取ります。以前は開腹手術が多かったですが、現在では小さな傷を2、3ヶ所開けるだけの腹腔鏡手術が一般的になっています。