鼠径ヘルニア

起こり方と症状

鼠径(そけい)ヘルニアとは、いわゆる脱腸のことをいいます。子どもの鼠径ヘルニアは、在胎中にお腹の腹膜にできる袋状の突起物と関係しています。この袋状の突起物は刀の鞘(さや)のような形をしているため腹膜鞘状突起(ふくまくしょうじょうとっき)と呼ばれます。腹膜鞘状突起は、在胎30週ごろに精巣が下降する際に作られ、通常は生まれる前に自然に閉じるのですが、閉じずに残った場合にヘルニアの原因になります。

この袋状の腹膜鞘状突起が腹腔(お腹の中)と小指くらいの穴でつながっており、いきんで腹圧が上がるとこの穴から内臓(腸管、卵巣、大網など)が袋の中にとび出します。そうなると鼠径部(足の付け根の股のあたり)、あるいは陰嚢が腫れて見えるようになります。この状態をヘルニアといいます。この状態では特に痛みは感じませんが、とび出した内臓が腹壁の穴で強く絞めつけられ内臓の血流が悪くなると痛みがでます。こうなることをヘルニア陥頓(かんとん)といい、緊急にもとに戻さないと内臓が壊死します。

治療

鼠径ヘルニアが自然に治ることはありません。そして、鼠径ヘルニアは陥頓の危険があるため早いうちに手術を行うのが原則です。しかし乳児では全身麻酔や手術のリスクを考えて手術の時期に関しては十分に検討します。最近では、腹腔鏡手術という合併症のリスクが少なく傷あとも小さくてすむ手術を行う施設も増えてきています。