上唇小帯(じょうしんしょうたい)とは前歯の中央にあるスジのことです。乳幼児ではこのスジが太く、歯茎の頂上から上の前歯に割り込むように回り込んでいる場合が多く、これが正常な状態です。たいていは成長とともに、付着部が歯茎の上の方に移動して、幅も狭くなっていきます。
上唇小帯はわりと切れやすく、切れると血がよく出ます。この状態を上唇小帯裂傷といいます。よくあるのは子供が転んでテーブルなどで口をぶつけるケースです。この場合、ほとんどが上唇小帯が切れて出血しており、同時に上唇も切れて腫れている場合もよく見ます。結構血が出るので、慌てて受診されるのですが、受診時には血は止まりかけている場合が多く、縫合の必要もほとんどありません。切れて出血した場合は、うがいをさせてしばらく圧迫していればたいてい止血できます。2~3日は泣いた時や歯みがきの時に出血しやすいですが、心配はありません。
また、切れてしまっても、食べたり喋ったりする機能に特別な影響はありません。