アレルギー性鼻炎

症状

アレルギー性鼻炎は、アレルギー反応の結果起こる鼻炎であり、①くしゃみ、②鼻水、③鼻づまり、を3大症状とします。3大症状のほかに頭痛、頭重感、食欲不振、耳・のど・目のかゆみなどの随伴症状が起こることもあります。また倦怠感や意欲の低下、不眠にもつながります。こうした症状は非常に不快で、日常生活の質を低下させます。命に関わる病気ではありませんが、学業や仕事に悪影響をきたすこともあります。

アレルギー性鼻炎には、花粉症など特定の季節に発症する「季節性アレルギー性鼻炎」と、ダニなどを原因とし年間を通じて発症する「通年性アレルギー性鼻炎」があります。いずれも症状は「鼻かぜ」とよく似ていますが、アレルギー性鼻炎の鼻水はいつでも透明でサラサラしているのに対して、鼻かぜでは、初期は透明な鼻水が出ることがありますが、通常は次第に黄色くネバネバした鼻水に変わるのが特徴です。また、アレルギー性鼻炎は、花粉などの原因となる抗原に接する期間は症状が同じように続くのに対して、鼻かぜでは、始まり、ピーク、改善と、症状の変化を伴いながら1~2週間の経過で治っていきます。

             アレルギー性鼻炎の特徴(かぜ・副鼻腔炎とのちがい)

 

通年性

アレルギー性鼻炎

季節性

アレルギー性鼻炎(花粉症)

急性鼻炎(かぜ)

慢性副鼻腔炎

(ちくのう)

慢性鼻炎

症状持続期間

年中

花粉飛散時期

12週間

年中

年中

くしゃみ

初期に強い

鼻水の性状

水性

水性

初期は水性、後に粘膿性

粘性

膿性

鼻閉(鼻づまり)

目のかゆみ

++

喉のかゆみ

咳・痰

しばしば+

時に+

発熱

あっても微熱

しばしば+

時に+

子どものアレルギー性鼻炎の特徴

アレルギー性鼻炎では、発症の低年齢化が進み、子どもの患者さんが増加してきています。今では、幼少児でもまれな疾患ではありません。

アトピー性皮膚炎や気管支喘息の合併が高率にみられますが、皮膚炎や喘息が小学校高学年で治っていく傾向があるのに比べて、アレルギー性鼻炎の自然治癒はほとんど見られません。

原因抗原は、ダニと花粉が圧倒的に多く、ペット(犬、猫、ハムスターなど)やアルテルナリア(カビの一種)のアレルギー合併も時にみられます。最近は、花粉症、特にスギ花粉症の増加が非常に多くみられ、5歳以上ではダニアレルギーよりも多い患者数がみられるようになっています。

診断

アレルギー性鼻炎の診断には、まず、3大症状の確認が必要です。くしゃみ・鼻水は容易に確認できますが、特に子どもでは、鼻づまりの確認はやや難しくなります。鼻づまりがあると、鼻をすすり、そして口呼吸になりますので、これらの症状を意識して確認します。さらに、鼻や目をこするしぐさの確認も重要です。

また、通年性アレルギー性鼻炎を単独で発症しているのか、花粉症を合併しているのか、あるいは花粉症を単独で発症しているのか、さらに多種類の抗原に感作しているのかなどを問診である程度見極めて、疑われる抗原を選出して、アレルギー検査へと進んでいきます。

アレルギー検査では、血液検査によりアレルギーに関連性の深い好酸球の数値を確認し、特異的IgE抗体を調べることでアレルゲンを特定します。アレルギー検査として、皮膚の反応をみるプリックテストや皮内テストを行う場合もあります。

治療

治療の目標は、「症状のない、あるいはあってもごく軽度で、日常生活に支障のない状態」にもっていくことです。

子どものアレルギー性鼻炎の治療は、「アレルゲンの除去・回避」、「薬物療法」、「アレルゲン免疫療法」の3つが主になります。

①アレルゲンの除去・回避

ダニ、花粉、ペット抗原の3大抗原について、除去・回避のポイントを示します。(鼻アレルギー診療ガイドライン2020より抜粋)

ハウスダスト・ダニの除去

① 掃除機がけは、吸引部をゆっくりと動かし、1畳あたり30秒以上の時間をかけ、週に2回以上行う。

② 布張りのソファー、カーペット、畳はできるだけやめる。

③ ベッドのマット、ふとん、枕にダニを通さないカバーをかける。

④ ふとんは週に2回以上干す。困難な時は室内干しやふとん乾燥機で、ふとんの湿気を減らす。週に1回以上掃除機をかける。

⑤ 部屋の湿度を45%以下、室温を20~25℃に保つように努力する。

⑥ フローリングなどのホコリのたちやすい場所は、拭き掃除の後に掃除機をかける。

⑦ シーツ、ふとんカバーは週に1回以上選択する。

スギ花粉の除去

① 花粉情報に注意する。

② 悲惨の多い時の外出を控える。

③ 表面がけばだった毛織物などのコートの使用は避ける。

④ 帰宅時、衣服や髪をよく払ってから入室する。洗顔、うがいをし、鼻をかむ。

⑤ 飛散の多い時は窓、戸を閉めておく。換気時の窓は小さく開け、短時間にとどめる。

⑥ 飛散の多い時のふとんや洗濯物の外干しは控える。

⑦ 掃除を励行する。特に窓際を念入りに掃除する。

ペット(特にネコ)抗原の回避

① できれば飼育をやめる。

② 屋外で飼い、寝室にいれない。

③ ペットと、ペットの飼育環境を清潔に保つ。

④ 床のカーペットをやめ、フローリングにする。

⑤ 通気をよくし、掃除を励行する。

⑥ フローリングなどのホコリのたちやすい場所は、拭き掃除をした後に掃除機をかける。

②薬物療法

子どものアレルギー性鼻炎に使用する内服薬は、抗ヒスタミン薬と抗ロイコトリエン薬の2種類が主になります。鼻閉に対しては、鼻噴霧用のステロイド薬を使用する場合もあります。

③アレルゲン免疫療法

減感作療法とも呼ばれ、アレルギーの原因である「アレルゲン」を少量から投与することで、体をアレルゲンに慣らし、アレルギー症状を和らげる治療法です。

薬物療法などの対症療法とは違い、根本的な体質改善が期待できる治療法で、長期にわたり症状を抑えたり、和らげたりすることが期待でき、アレルギー性鼻炎の治療法として、最近ひろく行われてきております。さらに、従来からある皮下注射による皮下免疫療法に加えて、2014年より舌の下に薬を投与する舌下免疫療法(スギ花粉・ダニアレルギー)が保険適応になったことで、子ども(5歳以上)への治療選択肢としてもますます普及が進んできています。

当院でも舌下免疫療法を行っております。詳細につきましては、こちらをご参照ください。