こどもの発熱

鼻水,赤ちゃん

発熱は病気ではなく、体を守るための防御反応として起こる症状の一つです。発熱はウイルスや細菌などの感染に対する免疫機能の働きの一つで、発熱自体が必ずしも体に悪い影響を与えるわけではありません。体温が高くなることで、免疫力が高くなるほか、体内に侵入したウイルスや細菌の増殖を抑制する効果も期待できます。

しかし、お子さまが発熱で苦しんでいると心配になるかと思います。ここでは、発熱の原因と自宅でできる対処法をご紹介いたします。

 

発熱の原因とその他の症状

赤ちゃんやこどもによくみられる発熱は、様々な原因で引き起こされます。

①ウイルス感染

インフルエンザウイルス、コロナウイルス、RSウイルス、ヒトメタニューモウイルスやアデノウイルスなどのウイルスが呼吸器感染症を引き起こすときに発熱を起こします。

発熱以外に、咳・鼻水・のどの痛みを伴う場合は一般的に“風邪”といいます。また、嘔吐・下痢などを伴う場合は“胃腸炎”となります。その他の症状を伴うこともあります。

 

②細菌感染

溶連菌感染症やマイコプラズマ肺炎などの感染症は、原因となる細菌に感染することで発熱を引き起こし、咳やのどの痛み、倦怠感、胃腸症状を伴うこともあります。また、細菌感染によって髄膜炎、中耳炎、咽頭炎、尿路感染症などが併発された場合も発熱を伴うことがあります。

 

③ワクチン接種後

予防接種後、発熱することがあります。これは、体がワクチンに対して免疫反応を起こしているため心配はいりません。通常は数日で治まります。

 

④熱中症

高温環境下に長時間いると、体温調節機能がうまく働かなくなり、発熱します。脱水症状を伴うこともあります。

発熱の対処方法

<冷やすタイミング>

熱中症による発熱の場合はすぐに体を冷やす必要がありますが、感染症による発熱の場合は熱が上がりきってから冷やすようにしましょう。発熱によってウイルスや細菌と戦っている状態ですので、上がりきる前に冷やすと逆に体に負担をかける可能性があります。

汗をかき始めた状態は、体温調節機能が働き始めたサインですので、汗をかき始めてから体を冷やすことで体温を下げ、症状を和らげることができます。

 

<冷やすポイント>

首や脇の下、足の付け根など、大きな血管が通っている場所を冷やすと効果的です。

凍傷の恐れがあるため、氷枕や保冷剤はタオルを巻いて、直接肌に触れないように注意しましょう。

ぬるめの濡れタオルで体を拭くことも効果的です。

 

<原因別の対処>

①感染症による発熱

寒気がある場合は温かい服装、熱が上がりきってからは熱がこもらない薄手の服装にし、体を冷やしましょう。

受診後は処方された薬を服用し、安静にしましょう。

 

②ワクチン接種後の発熱

安静にしていれば通常1~2日で解熱します。高熱が続くようであれば受診してください。

 

③熱中症による発熱

日陰や涼しい室内へ移動し、体を冷やしましょう。

 

<解熱剤の使用>

解熱剤の使用目安は一般的に38.5℃以上とされていますが、熱が高くても元気があれば解熱剤は不要です。

高熱が続き苦しんでいる場合には解熱剤を使用しますが、年齢や体重、既往歴などに応じて種類や量が異なるため、必ず医師に相談しましょう。

受診の目安

以下のような場合は、すぐに受診してください。

 

・38.5℃以上の高熱が3日以上続く場合

原因不明の高熱が長く続く場合は、深刻な病気の可能性があります。

 

・脱水症状が現れる場合

水分補給がうまくできず、おしっこの量が減ったり、口が渇いたり、ぐったりしている場合は、脱水症状の可能性があります。

 

・熱性けいれんを起こした場合

発熱に伴い、意識を失ったり、手足が震えたりするけいれんを起こした場合は受診が必要です。

 

・生後3ヶ月未満の乳児が発熱した場合

乳児は体温調節機能が未発達なため、発熱は注意が必要です。

 

そのほか、元気がない、ぐったりしている、反応が悪いなど、普段と様子が明らかに違う場合は、受診が必要です。

発熱時の検査

発熱の原因は感染症以外にも多く考えられます。そのため、発熱時に必ず検査をするわけではなく、症状や病歴を詳しく聞き取った上で、必要に応じて検査を行います。

また、インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスをはじめとする感染症が疑われる場合でも、発熱後12時間以上経っていない場合は、ウイルスが検出されないことがあります。

受診のタイミングによっては検査ができない場合、翌日再度検査いただく場合もありますのでご注意ください。

家庭で気をつけること

①水分補給

脱水症状を防ぐために、こまめな水分補給を心がけてください。経口補水液も有効です。

 

②安静

安静を保つことが大切です。無理強いせず、十分な休息をとらせてあげましょう。

 

③衣類の調整

体温調節しやすいように、着脱しやすい服装がいいでしょう。

 

④食事

食欲があれば、消化の良いものを少量ずつ与えましょう。食欲がない場合は無理せず、水分補給を優先します。