片頭痛

片頭痛は、子どもの頭痛をきたす病気の中でも一番多い疾患です。急性疾患(かぜなど)に伴う頭痛とは違い、始まりから終わりまでがパターン化した「頭痛発作」が一定の頻度で繰り返してみられる慢性の疾患です。片頭痛では家族、特に母親が片頭痛をもつことが多い傾向にあります。

原因

片頭痛の誘因としてもっとも有力視されているのは三叉神経血管説です。何らかのきっかけで頭の血管の周りの神経(三叉神経)が刺激され、痛み物質が出ることによって脳血管の拡張と炎症がおこり、頭痛が起こります。きっかけは様々ですが、生理、ストレスからの開放、人ごみ、天候の変化、炎天下、寝不足や眠りすぎ、激しい運動、強い光、騒音、人ごみ、異臭、朝食抜きなどがあります。

症状の特徴

片頭痛,男の子

片頭痛では、痛みの前兆として、見ようとするところがぼやけて回りがきらきらするなどの目の症状や、感覚の異常が先行してみられることがあります。痛みの部位は片側に限らず両側のこともあり、ズキンズキンと脈打つような強い痛みが特徴です。小児の場合、成人と比べて痛みの持続時間が短いほか、頭の両側に感じることが多く、頭痛以外の症状(顔面蒼白、嘔吐、腹部症状など)が目立つことも特徴です。光、音、臭いに敏感になることもあり、そのため、テレビをいやがり、暗い静かな部屋で寝たがる子が多いようです。

頭痛発作は、通常は月に1~4回くらいの頻度でみられます。発作のない普段は、生活に何ら影響なく元気に過ごせますが、発作が起きると頭痛や嘔気に伴い活動性が著しく低下し、寝込む場合もあります。

頭痛の持続時間は1~72時間です。通常は睡眠をとることで症状が軽快することが多いです。頻度は、中学生で5%、高校生で15%くらいと思われます。

なお頭痛は、髄膜炎、頭蓋内出血、脳腫瘍などの重篤な疾患も含めて、様々な原因で起こるため、片頭痛の診療においても、まずはそれらの鑑別診断がとても重要です。

治療

片頭痛による苦痛を和らげること、および日常の活動が片頭痛の影響を受けないようにサポートすることを目標に治療を行います。具体的には、頭痛で学校に行けない、早退する、嘔吐する、寝込んで勉強やクラブ活動に支障を来すと言った状態に対し、片頭痛を誘発する条件を回避させることと薬剤の投与が行われます。