口と鼻から吸った空気は喉頭(のど)、気管、気管支、細気管支へとすすみ、肺胞に至ります。それと同様に、口や鼻から侵入した病原体(細菌やウイルス)が、上気道(口、鼻、のど)で炎症を起こすと上気道炎(いわゆるかぜ症候群)、下気道(気管、気管支、細気管支)に炎症が及ぶと、それぞれ、気管炎、気管支炎、細気管支炎になります。そして病原体が肺胞まで侵入し炎症を起こすと肺炎になります。
特に基礎疾患のない子どもの肺炎の原因は、ほとんどが、ウイルスか細菌、マイコプラズマのいずれかの感染によるものです。その中でも、細菌によるものが全体の60~70%と最も多くみられます。RSウイルス や インフルエンザは毎年秋から冬になると流行し、特にRSウイルスは2歳までに100%がかかるといわれる、ありふれたウイルスです。ほとんどの場合、かかっても風邪で終わりますが、一部に肺炎になる場合があります。マイコプラズマ肺炎は、学童期にかかることが多く、しつこく咳が続くのが特徴です。
種類 |
原因病原体 |
ウイルス性肺炎 |
RSウイルス、ヒトメタニューモウイルス、 インフルエンザウイルス、アデノウイルスなど |
細菌性肺炎 |
肺炎球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌など |
非定型肺炎 |
マイコプラズマ、クラミジア |
多くの場合は、発熱や鼻水などの風邪症状で始まり、その後に咳が続きます。38度以上の高熱が続き、咳の悪化と息苦しさも伴います。重症になると、ぐったりとして食欲もなくなり、呼吸困難に陥ってチアノーゼを起こすことや、激しい咳で嘔吐を繰り返して、ひどい時には脱水症状を起こすこともあります。家庭で最も注意したいのは呼吸の状態です。呼吸が早く、息苦しさが目立つ時、咳が強くて水分が飲めない時や眠れない時は早めに受診しましょう。
入院治療が必要となることも多く、また乳児の場合急速に症状が進行することもあります。
細菌性肺炎の場合と非定型肺炎の場合には、抗菌薬を使います。ウイルス性の肺炎の場合は、基本的には対症療法を行いながら自然治癒を待ちます。
肺炎の対症療法とは、咳止めや痰きりの薬を使うことや、気管支拡張剤を使って空気の通りを良くすること、また、酸素投与や呼吸の補助、理学療法などを行って呼吸を楽にしてあげる治療などのことです。すべての肺炎において、必要に応じた対症療法がおこなわれます。