熱性けいれん

熱性けいれんとは

乳幼児期に発熱とともに全身のけいれんを起こす病気です。よく“ひきつけ”といわれるものです。原因ははっきりとは分かっていませんが、ほとんどの場合でけいれんは5分以内に止まり後遺症などの心配はありません。小学校に行く頃にはたいていが自然に起こさなくなります。熱性けいれんが起こったら将来てんかんになるという訳ではありませんし、“熱性けいれん”と“てんかん”はまったく別の病気です。

症状

全身の体が硬くなり、けいれんします(突っ張ってガクガクする)。顔色が紫色や土色になることが多く、けいれん中は意識が無く呼びかけても答えません。普通は数分以内に落ち着き眠ってしまいます。熱が急に高く出る際(熱の上がりぎわ)におこりやすいという特徴があります。

熱性けいれんの頻度

子どもの間では、10~15人に1人に起こる、ありふれた病気です。両親のどちらかに熱性けいれんがあった場合には特によく起こります。また、はじめて熱性けいれんを起こした子供が、2回目の熱性けいれんを起こす割合は3割位です。

けいれん時の対応

1度ひきつけたことのある子の約3割がまた起こしますから、今度ひきつけた時のために、次のことを知っておいてください。

 

 ①あわてない

ほとんどのけいれんは数分間で止まります。命にかかわることは、まずありません。

 

②何もしない

口の中に指や箸を入れない(舌を噛むことはない)。体をゆすったり押さえつけたりしない。

 

③楽な姿勢で

体を横にねかせ、服をゆるめる。

 

④吐くと危ない

:けいれん時やけいれん直後は、嘔吐することがあります。あお向けの場合、吐物をのどに詰めて危険なため、あらかじめ顔を横に向けて、吐物が外へ流れ出るようにしておく。

 

⑤じっと見る

時計を見て、何分続いているかを確かめる。けいれんの様子をよく見て、あとで報告できるようにしておく。

 

※次のような時には、緊急に受診が必要です。単なる熱性けいれんか、何か重い病気が隠れていないかを判断する必要があります。

   ☑  けいれんが10分以上続くとき。→ためらわず救急車を呼んで下さい。

   ☑  短い間隔で繰り返しけいれんが起こるとき。

   ☑  体の一部にけいれんが起きたり、左右が対称でないけいれん発作の場合。

   ☑  けいれん発作の後に麻痺(手足が動かなくなる)が残ったり反応の悪い状態が続くとき。

   ☑  初めてのけいれんの場合は必ず医師の診察を受けて下さい。

熱性けいれんの予防

発熱時にけいれん予防薬(ダイアップ坐薬)を使用すると、ほとんどの場合でけいれんを予防することができます。 時々ふらつきなどの副作用があります。 

ダイアップ坐薬の使用方法:38度以上の発熱に気付いた時に投与(1回目)します。1回目から8時間後もう1度(2回目)使います。これでおしまいです。熱が続いても2回でほとんど予防できます。

熱性けいれんを起こしたことのある子がみんなダイアップで予防する訳ではありませんので医師と相談して下さい。

※ 解熱剤(熱さまし)の座薬は、熱性けいれんを予防する効果は一切ありません。熱性けいれんは熱の上がり際に起きやすいため、解熱剤で一旦熱を下げると、次また熱が上がるタイミングができますので、熱性けいれんを起こすリスクが増える可能性もあります。

予防接種について

熱性けいれんを起こした後でも医師の判断で予防接種を受けることが可能です。

普通の熱性けいれんの場合、念のためけいれんの後2ヵ月ほど様子を見てから接種可能と判断しています。長時間の痙攣や繰り返し痙攣を起こしている場合は医師に相談して下さい。

脳波検査について

脳波検査を行ってもあまり多くのことは分かりません。熱性けいれんの多くでは脳波検査で異常は見られませんし、もし異常が見つかったとしても、「熱性けいれん」としての診断や対応(治療)がすぐに変わることはありません。脳波異常があっただけで診断が熱性けいれんからてんかんに変わることもありません。熱性けいれんの診断は、あくまでも症状と起こった状況(発熱を伴うかどうか)によるのです。ですので脳波検査をするかどうかは、医師とよく相談して決めてください。